前回の記事では、ゼルダ史を分岐点まで解説した。
今回は続きで、分岐した後それぞれの時系列を追っていこう。
注意事項や、前半が分からないという方は前回の記事をご参照頂きたい。
注意点について、ネタバレが嫌な方はここでブラウザバックしよう。
では、早速本題に…入る前に。
復習:分岐の概要
これからの解説の前提になるので、分岐点だけはさっと復習をしておく。
まずは、分岐点以降の概要図をご覧頂きたい。
作品で言うと、「時のオカリナ」で3つの時系列に分岐していた。
これも、一度に3つではなく、2つへの分岐が2回。
最初の分岐は、「時のオカリナ」ラスボス戦であるリンクとガノンドロフの勝敗によって。
リンクが負けた場合、「時の勇者敗北ルート」に繋がり、勝った場合はさらに分岐が発生する。
ゼルダがリンクをあるべき姿、7年前に戻すのだが、戻った後に残った大人時代が「時の勇者勝利:大人時代ルート」で、戻ったリンクがいる側が「時の勇者勝利:子供時代ルート」だ。
これを踏まえ、上の図でいう右から順に見ていこう。
時の勇者勝利:大人時代ルート
このルート、前提としては以下のものが挙げられる。
- 六賢者は覚醒済み
- 時の勇者が魔王を打ち倒したという伝承が残る
- しかし、時の勇者本人は不在となる
これを踏まえつつ、歴史を見ていこう。
ハイラル水没
もう項目名がとんでもないが、中身を。
一度は時の勇者に敗北したガノンドロフだが、一度復活してしまう。
人々は再び時の勇者が現れなんとかしてくれると期待し、祈る。
しかし、前提で書いた通りで、時の勇者が存在しないルートだ。
もちろん勇者が現れることはない。
最終的に、神がガノンドロフを封印するのだが…なんと、ハイラル全土を海に沈め、丸ごと封印するという暴挙に出る。
残された人々は高い山に逃げ込み、そこだけが海から顔を出す島となった。
これが、次に出てくる作品「風のタクト」の舞台となる。
作品「風のタクト」
海に浮かぶ島プロロ島で暮らす少年リンクが主人公。
ストーリー的には妹がさらわれてテトラ海賊団の力を借りて助けに行ってそこでガノンドロフが復活しててと色々あるが…出来事ベースで見ていこう。
ここで大きいのは、やはり最終決戦の場面だろう。
ガノンドロフとリンク、ゼルダが揃うことで、トライフォースが3ピースとも揃う。
ここで最初に触れたのが、赤獅子の王としてリンクと共に旅をしていた、ハイラル王だ。
ハイラル王は「過去の地ハイラルを消し去り、若い二人に未来を与えよ」と願う。
実は、この時点でガノンドロフの敗北は確定している。
そんな、悲しい戦いが、風のタクトのラスボス戦。
最終的には、リンクがガノンドロフにマスターソードを突きさし、石化させる。
そのエンディングで、ハイラル王、石化したガノンドロフとそこに刺さったマスターソードごと、ハイラルは海の底に沈む。
なお、ここで言うハイラルは、世界としてのハイラルと思われる。
根拠は、ハイラル百科に以下の記載があることだ。
古いハイラルが消滅したことにより世界は新しい海となった。
ニンテンドードリーム編集部「ゼルダの伝説 ハイラル百科」(P.24)
ここで、世界が変わったと書かれているため、ハイラル世界が消滅したと考えるのが妥当だろう。
…実は、トライフォースもここで消滅した可能性もある。
が、ハイラルではなくなったので、理としての役割も無くなり、消滅したとしても辻褄は合うように考えられる。
ここから、リンクとゼルダ…いや、テトラは新たな大陸を求め、航海に出る。
補足:ハイラル百科の記述
さて、一個だけ面白い記述があったので補足しておこう。
この、ガノンドロフが石化する直前のセリフの紹介部分に、「最期」という表記がある。
また、同時にトライフォースを追い続ける呪縛のようなものから解放されたとも。
ここから、このルートのガノンドロフは死んだとも捉えられる。
実際、後でも触れるがこのルートにはこれ以降ガノンドロフは出てこない。
作品「夢幻の砂時計」
これは風タクリンクの後日談、歴史にはそこまで関係ないので今回は省略させてもらおう。
新生ハイラル王国建国、作品「大地の汽笛」
ここはまとめて見ていく。
新大陸を発見したリンクとテトラ、そこに新生ハイラル王国を築くことになる。
そこから100年後の世界が、「大地の汽笛」だ。
もちろん、マスターソードやガノンドロフはこの作品には出てこない。
このルートで今分かっているのはここまでだ。
時の勇者勝利:子供時代ルート
次に、子供時代ルート。
このルートの前提は以下の通り。
- 時の勇者本人がいる
- ガノンドロフのクーデターが未然に防がれている(言い換えれば、時の勇者の伝説は存在しない)
事実としてはこの2つだが、推測で賢者たちも目覚めていないと考えられる。
そもそも、時オカで目覚めた賢者たちは、ガノンドロフに立ち向かうために目覚めている。
その必要が無かったので、語り継がれることはあっても、賢者としては伝承されていないはずだ。
作品「ムジュラの仮面」
さて、時の勇者本人の後日談である「ムジュラの仮面」なのだが…これも省略させてもらう。
余談だが、私が一番やり込んだのが、このムジュラの仮面だったりする。
サブストーリーも非常に作り込まれているので、未プレイの方には是非プレイして頂きたい。
作品「トワイライトプリンセス」
さて、ここから「トワイライトプリンセス」になるのだが、本題に入る前に、分岐直後の話を少し補足させてほしい。
時の勇者がガノンドロフ将来クーデター起こすぞとチクったことにより、ガノンドロフは処刑されることになる。
しかし、その処刑が実行されようとすると、ガノンドロフは束縛を強引に振りほどき、処刑官の一人を殺害してしまう。
処刑が上手く執行できないと判断した残りの処刑官たちは、苦肉の策としてガノンドロフを影の世界へと追放する。
何が起こったのかというと、この時すでにガノンドロフには力のトライフォースが宿っていた。
この理由は…話が非常に複雑になるので一旦避けて、オマケで考察してみる。
さて、影の世界へ追放されたガノンドロフは、そこで影の一族であるザントに力を与える。
そして、光の世界を影の領域トワイライトで覆いつくそうとする。
そこから、ようやく「トワイライトプリンセス」の本題だ。
ミドナと共に、姿を獣に変えたりしつつ冒険を進めるこの物語。
もちろん、途中でマスターソードを引き抜くし、最後はガノンドロフとの一騎打ちだ。
ここでも、最後リンクがガノンドロフにマスターソードを突きさし、決着がつく。
ここに関しても、ゲーム内の演出やのちの歴史からガノンドロフは死んだと思われる。
作品「4つの剣+ ハイラルアドベンチャー」
この作品はグフーやフォーソードのお話なのだが、少し触れよう。
というのも、ガノンも出てくるのだ。
とはいえ、この作品のみ時オカのガノンドロフとは別人で、生まれ変わりの姿。
これが、トワプリでガノンドロフが死んだと思われる根拠の1つ。
この作品では、フォーソードでガノンを封印する。
ここまでが、時の勇者勝利:子供時代ルートで分かっていることになる。
時の勇者敗北ルート
では、いよいよ「時の勇者敗北ルート」を見ていく。
このルートの前提は以下の通り。
- ガノンドロフはトライフォースを3つとも集める(魔獣ガノンに変貌)
- 六賢者は覚醒済み
まず、時の勇者が敗北した直後から見ていこう。
六賢者+ゼルダ姫によるガノン封印
さて、ティアキンをプレイした方は混乱するかもしれないが、あくまでハイラル百科に基づいて書いていこう。
時の勇者が敗北し、魔獣となったガノン。
当然野放しにはできず、残された六賢者とゼルダ姫はガノンをトライフォースごと、聖地へ封印する。
ティアキンでは、恐らくではあるが姫様がこの争いのことを「封印戦争」と呼んでいた。
しかし、ハイラル百科では、この次に封印戦争が来る。
封印戦争
聖地には、トライフォースがある。
トライフォースには、願いを叶える力がある。
というわけで、結局人々はトライフォースを求めて、聖地を巡る争いが勃発する。
しかし、先ほど書いた通りで聖地にはガノンがいる。
この時代の七賢者が、争いを防ぐためか、ガノンの元へ行く人を止めるためか分からないが、聖地への入り口を封印することになる。
これが、ハイラル百科に記載されている「封印戦争」だ。
ちなみに、この次に出てくる「神々のトライフォース」のオープニングでもこの話が語られる。
Switchでもプレイできるので、気になる方はそこだけでも確認してみるといいだろう。
作品「神々のトライフォース」
では、その「神々のトライフォース」だ。
ここでの歴史的な事実は、トライフォースの奪還。
主人公のリンクは、中盤でガノンがいる聖地…いや、闇の世界に足を踏み入れる。
そこで賢者たちを救い、最後にはガノンを打ち倒す。
そして、ガノンが持っていた完全体のトライフォースを見事奪い返す。
何気に、全シリーズ通して一番すごいことをやってるリンクかもしれない。
この後、トライフォースはハイラル王国が所有することになる。
作品「夢をみる島」
これも好きな作品なのだが…神トラリンクの後日談(?)なので省略させてもらおう。
Switchでもリメイクされたのが記憶に新しいので、昔の方をやっていない方も是非やってみてほしい。
作品「ふしぎの木の実 大地の章&時空の章」
この2作品は同時に発売され、同じシステムで別のストーリーを遊ぶみたいなイメージだ。
で、これらどっちか単体では、歴史的には絡みがない。
しかし、2作品をあいことばで繋げるリンクシステムを使うと、歴史に絡む話が出てくる。
このストーリーの裏で、ツインローバが暗躍している。
ツインローバは条件を満たすことでガノンを復活させることを企んでいるが、完全には満たす事ができなかった。
そのため、自らの命を生贄に捧げ、ガノンを復活させる。
しかし、意思を持たない不完全な状態で復活してしまい、それもリンクに倒される。
で、重要なのはここから。
そもそも、この2作品は冒頭でリンクがトライフォースにより試練を与えられることで、それぞれの舞台へ飛ばされる。
その全てが終わった後、なんとトライフォースは鳥に姿を変えて飛び立ってしまう。
その先は、力がガノンに、知恵はゼルダ姫に、そして勇気は…勇者の心に宿ったとされている。
作品「神々のトライフォース2」
さらに時は進み、今度は「神々のトライフォース2」のお話だ。
プレイしたことがない方は神トラのリメイク?と思われていたかもしれないが、ほぼ同じ地理で別のストーリーが展開されており、リメイクではない。
ここで出てくるのは、ロウラルというもう1つの世界。
もちろん、神トラに出てきた闇の世界とは別物だ。
このロウラルにもハイラルと同じくトライフォースが存在していて、機能や役割も同じ。
それを狙う者がいたのも同じで、ロウラルはトライフォースが無ければ争いは起こらないと考え、なんと破壊してしまう。
…トライフォースには、世界の理を司るという役割があったことを思い出そう。
それを失ったロウラルは、衰退の一途を辿ることになる。
そこで、どうやってかは知らないがハイラルの存在を知り、ハイラル側のトライフォースに目をつける。
それを奪おうと司祭ユガを派遣するのだが…ユガはトライフォースへの欲望に勝てず、自らのために動き出す。
なんとガノンと一体化し力のトライフォースを入手。
ロウラルの王女ヒルダがゼルダから知恵のトライフォースを奪っており、それもユガが横取りして2つを揃える。
リンクは勇気のトライフォースを持ち、最終決戦でユガを撃破、トライフォースを取り戻すことに成功する。
そして、エンディングではトライフォースの力を使って、ロウラルのトライフォースを復活させて終わり、といった感じだ。
新しい世界が絡んでくる話なので、この説明だけではちょっと分かりづらいかもしれない。
ハードは3DS、気になる方は是非プレイしてみよう。
トライフォース3銃士
ここも今回着目したい歴史とはちょっと離れるため、省略させてもらう。
もっと言うと、私もプレイできる友達がいないしたことがない。
ハイラル王国衰退
ここで、作品になっていない出来事なのだが…このちょっと前から話をしていこう。
衰退の少し前、非常に有能なハイラル王がいた。
どれほどかというと、トライフォースを政治に活かせるほどの有能さだ。
トライフォースは3つの素質をバランスよく兼ね備えた者に扱える。
そんな素質を持つ王が、この時代を治めていた。
…が、その息子である王子には、素質が無かった。
最初こそ王は王子にトライフォースを継いでもらおうと思っていたのだが、うまくトライフォースを扱えないことを危惧し、勇気のトライフォースのみを隠す。
その秘密を、娘であるゼルダ姫に託したのだ。
そして、ハイラル全土に、トライフォースを持つ資格のある者が現れ、道を誤らずに育ち、経験を積んで、ある年齢に達したら左手に紋章が現れるという魔法をかけた。
ここで、超重要な事件が起こる。
トライフォースを継承できなかった王子は、どうやらゼルダ姫が秘密を握っているようだと知る。
そこで、側近の魔術師と共にゼルダ姫に詰め寄る。
しかし、ゼルダ姫は一切口を割ろうとしなかった。
痺れを切らした魔導士は、ゼルダ姫を永遠の眠りにつかせてしまい、魔導士自身も絶命。
これをひどく後悔した王子は、この悲劇を忘れることが無いよう、王家に生まれた女性には必ず「ゼルダ」と名付けるよう命じた。
これが、「初代ゼルダ姫の悲劇」と呼ばれている事件だ。
実は、ブレワイのハイラル城図書室に隠し部屋があり、そこにハイラル王の手記がある。
その中に、「王家の習わしに従い、ゼルダと名付ける」といった記載があるのだ。
分かっているゼルダ史の中ではこの「初代ゼルダ姫の悲劇」のみがこの慣習に該当するため、ブレワイは時の勇者敗北ルートだと考えられている。
…話を戻そう。
王子はその後トライフォースなしで国を治めていたが、どんどん衰退していき、ついには一地方の小国にまで小さくなってしまう。
作品「初代ゼルダの伝説」
ここでようやく、シリーズ最初となる「ゼルダの伝説」の話が来る。
ガノンが復活し、力のトライフォースが奪われてしまう。
ゼルダ姫は知恵のトライフォースを奪われないよう8つの欠片に分解して各地に隠した。
その後ガノンにさらわれてしまうが、そこで旅をしていたリンクが訪れる。
状況を知ったリンクは知恵のトライフォースを集め、ガノンを討伐。
無事にトライフォースを取り戻し、物語は終わる。
作品「リンクの冒険」
そこから数年後の話、リンクは16歳の誕生日を迎えると、手の甲に三角形のアザが出現する。
これは、トライフォースを使って政治をしていた有能ハイラル王がかけた魔法だ。
それを見たインパがリンクに初代ゼルダ姫の悲劇を伝え、勇気のトライフォースを集めて目覚めさせて欲しいと依頼。
リンクは冒険に出て欠片を回収、見事初代ゼルダ姫を目覚めさせることに成功した、というお話。
以上で、ハイラル百科に載っている敗北ルートの歴史は終わりだ。
おわりに
これで、ざっとではあるが一通りゼルダ史の解説は終わりだ。
文中にも少し補足を入れていたが、ブレワイやティアキンに繋がりそうな話もちらほら出てきている。
今後、ブレワイ時系列考察動画やティアキン実況中に話した内容もより詳しく記事にしていくつもりだ。
ブレワイとティアキンは、まだ明確に公式からどこに該当するかは明言されていない。
それを、いろいろと考えていこう。
オマケ:分岐時の勇気のトライフォース
さて、ここからはかなり複雑な話になるし、明確な結論は出ないことを先に断っておこう。
トワプリの項の最初に、ガノンドロフに力のトライフォースが宿っていたと書いた。
これがなぜ起きたかを深掘りしてみる。
まず、ハイラル百科から分かることを列挙する。
- 時の勇者が7年前に戻る時、勇気のトライフォースを宿していた
- それが聖地のトライフォースに影響し、力がガノンドロフ、知恵がゼルダ姫に宿る
- 残された大人時代の勇気のトライフォースは8つに別れ、飛び散る
- 子供時代、勇気のトライフォースが重複したような記述はない
これをそのまま綺麗に受け取ると、矛盾しているのが分かると思う。
時の勇者が勇気のトライフォースを持ち帰ったことで、子供時代では勇気のトライフォースが重複するはずだがそういった記述はない。
また、大人時代の勇気のトライフォースが無くなるはずだが、8つに分かれていることから、しっかり存在していることが分かる。
ここで何が起こったか、2つほど推測できる。
まず1つ目、時の勇者が持ち帰ったのはトライフォース本体ではなく、「トライフォースを持つ資格」…あるいは、「トライフォースを持っているという情報」だけではないか。
こうすると、本来持つべきものを持っていないことから、子供時代に戻った時にトライフォースに影響して、まず勇気のトライフォースがリンクに宿る。
それが他の2つにも影響し、それぞれ宿るべきところに宿ったと考えられる。
2つ目、本当に持ち帰った。
が、トライフォースはそもそもがこの世の理…ということで、トライフォース自身も理に従って処理が発生した可能性がある。
勇気のトライフォースが無くなった大人時代、他の2つがそれを補完する形で勇気のトライフォースを生成。
勇気のトライフォースが重複した子供時代、元は同じものでもあるので、それが1つに統合。
こういった処理によって、それぞれの時系列にちゃんと1つの勇気のトライフォースが残ったとも考えられるだろう。
ここに関しては、これ以上確定させることは多分できない。
あやふやなままで申し訳ないが、もし気になればご自身でも考えてみて欲しい。